Bリーグとは?
日本のプロバスケットボール界を変えた新しいリーグBリーグ

Bリーグとは?日本のプロバスケットボール界を変えた新しいリーグ

バスケットボールと聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?NBAやオリンピックなどの国際舞台で活躍するスター選手たち?学校や公園などで気軽に楽しめるスポーツ?それとも日本ではまだマイナーな競技?

公開日:2023-04-03

はじめに


実は日本にもプロバスケットボールのリーグがあります。それがB.LEAGUE(Bリーグ)です。B.LEAGUEとは、2016年9月22日に開幕した、日本の男子プロバスケットボールリーグの通称です 。公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(JAPAN PROFESSIONAL BASKETBALL LEAGUE、JPBL)が運営しています。

B.LEAGUEの目的は、「世界最高峰レベル」、「地域密着型」、「社会貢献型」、「エンターテインメント型」、「SDGs推進型」の5つの価値観を掲げて、日本のバスケットボール界を発展させることです 。そのために、様々な取り組みや工夫をしています。

この記事では、B.LEAGUEという新しいプロバスケットボールリーグがどうやって誕生したのか、どんな特徴や魅力があるのか、今後どんな展望や課題があるのかを解説します。

Bリーグの誕生までの経緯


Bリーグが誕生するまでには、紆余曲折がありました。日本のプロバスケットボール界は、長らく分裂していたのです。

2005年に、日本バスケットボール協会(JBA)と対立したクラブや選手たちが独自に立ち上げたプロリーグがbjリーグでした。bjリーグは、NBAを参考にしたエンターテインメント性や地域密着性を重視し、徐々に人気や規模を拡大していきました。

一方、JBAは2007年にJBL(日本バスケットボールリーグ)を改組してJBL2(日本バスケットボールチャレンジリーグ)を設立し、2013年にはさらに改組してNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)とNBDL(ナショナル・バスケットボール・ディベロップメント・リーグ)を設立しました。これらのリーグは、企業チームが多く参加し、伝統的な競技性や技術性を重視していました。

しかし、このようにプロバスケットボール界が2つに分裂している状況は、国際的な評価や競争力の低下につながりました。FIBA(国際バスケットボール連盟)は2012年から2014年にかけて、JBAに対して統一リーグの創設や競技レベルの向上などを求める勧告書を送りました。しかし、JBAはFIBAの要求に応えることができず、2014年11月にFIBAから資格停止処分を受けました 。これは日本代表チームが国際大会へ出場できなくなるという深刻な事態でした。

そこでJBAは改革委員会を設置し、新たな理事長として元サッカー日本代表監督の岡田武史氏を迎え入れました。岡田氏はFIBAとの交渉や各クラブとの調整を進めていき、2015年8月にFIBAから資格停止処分が解除されました 。そして同年9月にJPBLが発足し 、2016年9月22日にB.LEAGUEが開幕することとなりました。

B.LEAGUE発足時の参加チーム数は45チームでした。そのうち18チームがbjリーグから移行し 、10チームがNBLから移行し てB1(1部)とB2(2部)に所属しました。残り17チームはNBDLから移行し てB3(3部)と呼ばれる準加盟クラブとして参加しました。また新規参入した東京エクセレンスもB3所属となりました。

Bリーグの特徴と魅力


Bリーグは、日本のプロバスケットボール界に新しい風を吹き込んだ画期的なリーグです。その特徴と魅力をいくつか紹介します。

リーグ構成(B1、B2、B3)と昇降格制度

Bリーグは、現在、B1に20チーム、B2に18チームが参加しています。これらのチームは、それぞれ東地区と西地区に分かれてレギュラーシーズンを戦います。レギュラーシーズンの上位8チームがプレイオフに進出し 、優勝チームが日本一となります。

また、B1とB2の間には昇降格制度があります。レギュラーシーズンで最下位になったB1のチームは自動的にB2に降格し 、逆に最上位になったB2のチームは自動的にB1に昇格します。さらに、それぞれ2番目から4番目までのチームが入れ替え戦を行い 、勝者が昇格または残留し、敗者が降格または落選します。

このような昇降格制度は、各クラブや選手のモチベーションや競争意識を高めるとともに 、ファンや視聴者の関心や熱狂を引き出す効果があります。

一方で、現在休止中のB3(準加盟クラブ)は2020年から2021年シーズンまで活動していました。これらのクラブはJPBLへ正式加盟するための条件を満たすことを目指していました。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で活動が困難となり 、2021年6月30日をもって全て解散することとなりました 。今後JPBLでは新たな準加盟クラブ制度を検討しています。

ゲームルールやフォーマットの違い

Bリーグでは、国際的なバスケットボールのルールに準拠しています。そのため、NBAとはいくつかの違いがあります。例えば、以下のような点です。

  • • クオーター制:Bリーグでは1クオーターが10分間ですが、NBAでは12分間です。
  • • 3ポイントライン:Bリーグでは3ポイントラインの距離が6.75メートルですが、NBAでは7.24メートルから7.92メートルまで変化します。
  • • プレイオフ:Bリーグではプレイオフは4チームずつのトーナメント方式で行われますが、NBAでは8チームずつのトーナメント方式で行われます。
  • • ファウル:Bリーグでは個人ファウルは5回までですが、NBAでは6回までです。

これらの違いは、試合のスピードや戦術に影響を与えます。また、Bリーグでは試合中にビデオ判定を行うこともあります 。これは審判の判断に疑問がある場合や重要な場面で正確さを確保するために導入されたシステムです。

クラブや選手の多様性

Bリーグに参加しているクラブや選手は多様な背景を持っています。クラブには企業チームや地域チームなど様々な形態があります。企業チームとは、特定の企業が所有し、社員や社外者から選手を集めて組織するチームです。例えばトヨタ自動車株式会社が所有するアルバルク東京やパナソニック株式会社が所有する三河などです。地域チームとは、特定の地域に根ざした経営体制を持ち、地元住民や自治体から支援を受けて活動するチームです。例えば北海道コンサドーレ札幌株式会社が所有するレバンガ北海道や広島ドラゴンフライズ株式会社が所有する広島ドラゴンフライズなどです。

選手にも様々な経歴や国籍の人たちがいます。日本人選手は、大学や高校などのアマチュアチームからプロに進んだ人や、海外のリーグでプレーした経験がある人などがいます。外国人選手は、各クラブが最大4名まで登録できる枠を利用して、主にアメリカやヨーロッパなどのリーグからスカウトされた人たちです。ただし試合中にコート上にいられる外国籍選手は2名までです 。また、日本国籍を取得した外国出身の選手もいます。例えば、日本代表チームでも活躍する八村塁や渡邊雄太などです。

このようにクラブや選手の多様性は、Bリーグの魅力の一つです。それぞれのクラブや選手には独自の特色や個性があります。ファンは自分と親近感を持てるクラブや選手を応援することができますし、対戦相手との対比や対立も楽しむことができます。

ファンサービスやメディア展開

Bリーグでは、ファンとのコミュニケーションやエンターテインメント性を重視しています。そのために様々なファンサービスやメディア展開を行っています。

ファンサービスとしては、試合会場で行われるイベントやパフォーマンスがあります。例えば、試合前後やハーフタイムにはダンスチームやマスコットキャラクターなどがショーを披露します 。また、観客席では応援グッズを配布したり 、ビデオボードで観客の写真を映したり します。さらに、試合後には選手と握手したり写真を撮ったりすることもできます 。これらのイベントやパフォーマンスは、ファンとクラブ・選手との距離感を縮める効果があります。

メディア展開としては、インターネットやテレビでの試合配信や情報発信があります。例えば、Bリーグでは公式サイトやSNSを通じて最新のニュースや動画を発信しています 。また、バスケットLIVEという有料の動画配信サービスを提供しており 、全試合をライブまたはオンデマンドで視聴することができます。さらに、一部の試合はNHKやBSテレ東などのテレビ局でも放送されています 。これらのメディア展開は、ファンにとって観戦しやすい環境を整える効果があります。

Bリーグの今後の展望と課題


Bリーグは、日本のプロバスケットボール界に新しい風を吹き込んだ画期的なリーグですが、まだまだ成長途中です。今後どんな展望や課題があるのでしょうか?

国際大会での活躍やオリンピック出場への期待

Bリーグは、日本代表チームに多くの選手を輩出しています。特に2020年東京オリンピックでは、男子バスケットボール競技に日本代表チームが44年ぶりに出場しました 。このチームにはB1所属クラブから15名(うち外国籍選手3名)、NBAから2名(八村塁と渡邊雄太)、海外クラブから1名(田中大貴)が選ばれました 。残念ながらグループステージで敗退しましたが 、世界トップレベルのチームと互角以上に戦う場面もありました。

今後もBリーグから日本代表チームへ優秀な選手が送り出されることでしょう。また、日本代表チームからBリーグへ帰ってくる選手もいます。これらの選手たちは国際経験や技術を持ち帰り、Bリーグ全体の競技レベルを向上させることでしょう。

経営面や競技レベルの向上への取り組み

Bリーグは、経営面や競技レベルの向上にも力を入れています。例えば、以下のような取り組みがあります。

  • • チームライセンス制度:Bリーグでは、各クラブに対してチームライセンス制度を導入しています 。これは、クラブが一定の基準を満たすことで、B1やB2に参加する資格を得るという制度です。基準には、経営状況や財務状況、アリーナ規模や設備、選手契約や福利厚生などが含まれます 。この制度は、クラブの経営安定化や選手待遇の改善などに貢献しています。
  • • ドラフト会議:Bリーグでは、毎年ドラフト会議を行っています 。これは、新人選手やフリーエージェント選手を対象にした選手指名会議です。各クラブは指名順に選手を選び、契約交渉を行います。この制度は、若手選手の発掘や育成、移籍市場の活性化などに貢献しています。
  • • サラリーキャップ制度:Bリーグでは、2020年から2021年シーズンからサラリーキャップ制度を導入しました 。これは、各クラブが一定額以内でしか選手に給与を支払えないという制度です。現在は暫定的なものであり 、今後調整される可能性があります。この制度は、クラブ間の競争力の均衡化やコスト削減などに貢献することが期待されています。

SDGsや社会貢献活動への関与

Bリーグは、スポーツを通じて社会に貢献することも目指しています。例えば、以下のような取り組みがあります。

  • • SDGsへの取り組み:Bリーグは、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し 、様々な活動を行っています。例えば、試合会場でのエコ活動や食品ロス削減 、バスケットボール教室やチャリティーイベントの開催 、ジェンダー平等や多様性の推進 などです。これらの活動は、Bリーグが社会課題に対して積極的に取り組む姿勢を示しています。
  • • B.LEAGUE Hope:B.LEAGUE Hopeとは、Bリーグが主催する社会貢献プログラムです 。このプログラムでは、バスケットボールを通じて子どもたちに夢や希望を与えることを目的としています。例えば、選手やコーチが子どもたちにバスケットボールの楽しさや魅力を伝えるクリニックやキャンプ や、子どもたちが選手と一緒に試合前のウォーミングアップに参加できるドリームチャレンジ などです。これらの活動は、Bリーグが次世代のバスケットボール人口やファン層の拡大に努めていることを示しています。

まとめ


Bリーグとは、日本のプロバスケットボール界に新しい風を吹き込んだ画期的なリーグです。分裂していた日本のプロバスケットボール界を統一し、国際的なルールやフォーマットに準拠しました。また、多様なクラブや選手が参加し、ファンサービスやメディア展開も充実させました。さらに、経営面や競技レベルの向上だけでなく、SDGsや社会貢献活動への関与も行っています。

Bリーグはまだまだ成長途中ですが、日本代表チームと連携しながら国際大会での活躍を目指しています。また、チームライセンス制度やドラフト会議などの制度を運用しながら経営面や競技レベルの向上を図っています。さらに、SDGsやB.LEAGUE Hopeなどのプログラムを通じて社会に貢献しています。

Bリーグは、日本のバスケットボール界に新しい風を吹き込んだ画期的なリーグです。その特徴や魅力を知れば、あなたもBリーグのファンになるかもしれません。ぜひ一度試合を観戦してみてください。Bリーグはあなたを待っています。

よくある質問


A: チケットを購入してアリーナで観戦することもできますが、インターネット上で有料または無料で配信されている試合もあります。詳しくは公式サイトやバスケットLIVEなどをチェックしてください。

A: 現在、B1に20チーム、B2に18チームが参加しています。毎年昇降格が行われるため、チーム数や構成は変わります。

A: はい。各クラブは外国籍選手を最大4名まで登録することができます。ただし試合中にコート上にいられる外国籍選手は2名までです。

A: はい。Bリーグでは毎年、新人選手やフリーエージェント選手を対象にドラフト会議を行っています。各クラブは指名順に選手を選び、契約交渉を行います。

A: Bリーグの試合は4つのクオーターに分かれており、各クオーターは10分間です。ただしタイムアウトやファウルなどで中断されることもあります。また、同点で試合が終了した場合は延長戦が行われます。延長戦は5分間で、延長戦でも同点だった場合はさらに延長戦が続きます。一般的には試合全体で約2時間程度かかります。

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