DRtg(ディフェンス・レーティング)とは
スタッツ用語集
NBA観戦を楽しむためには、チームや選手のスタッツ(統計データ)を見ることが欠かせません。スタッツは、試合の流れや勝敗の要因、選手の能力や役割などを客観的に分析するのに役立ちます。しかし、スタッツには様々な種類があり、その中でも特に重要なものがORtg(オフェンシブ・レーティング)とDRtg(ディフェンシブ・レーティング)です。これらは、チームや選手のオフェンスとディフェンスの効率性を表す指標で、NBAの公式サイトや専門サイトでよく見かけるものです
公開日:2023-04-03
はじめに
NBA観戦を楽しむためには、チームや選手のスタッツ(統計データ)を見ることが欠かせません。スタッツは、試合の流れや勝敗の要因、選手の能力や役割などを客観的に分析するのに役立ちます。しかし、スタッツには様々な種類があり、その中でも特に重要なものがORtg(オフェンシブ・レーティング)とDRtg(ディフェンシブ・レーティング)です。これらは、チームや選手のオフェンスとディフェンスの効率性を表す指標で、NBAの公式サイトや専門サイトでよく見かけるものです。
しかし、これらの指標は一見すると難しそうで、どうやって計算されているのか、どういう意味があるのか、どう使えばいいのかなどがわからない方も多いかもしれません。そこで、この記事では、DRtg(ディフェンス・レーティング)について簡単に解説します。DRtgとは何か、どうやって求められるのか、どういう意味があるのか、どう使えばいいのか、注意点や限界は何かなどをわかりやすく説明します。この記事を読めば、NBA観戦がもっと楽しくなること間違いなしです!
DRtg(ディフェンシブ・レーティング)とは
まず、DRtg(ディフェンシブ・レーティング)とは何かを定義しましょう。DRtgは、「これまでのデータから100回攻撃される (守備をする)と何点取られるのか?」を表した指標です。つまり、守備側の視点で考えた場合の失点率を示しています。例えば、DRtgが102.1なら、そのチームや選手は100回守備すれば102.1点失点することになります。
DRtgは、「Dtg」や「DffRtg」などと略されることもあります
DRtgの計算方法
次に、DRtgの計算方法について説明します。DRtgは、以下の式で求められます 。
DRtg = 100 × (Opponent Points / Opponent Possessions)
この式の意味は、相手チームの得点を相手チームのポゼッション(攻撃回数)で割って、100倍するということです。ポゼッションとは、チームがオフェンスを始めてから終わるまでの間に発生するイベント(シュート、フリースロー、ターンオーバー、リバウンドなど)の数を表します 。ポゼッションは、以下の式で求められます 。
Possessions = FGA + 0.44 × FTA + TOV - ORB
この式の意味は、フィールドゴール試投数(FGA)にフリースロー試投数(FTA)の0.44倍を足して、ターンオーバー数(TOV)を足し、オフェンスリバウンド数(ORB)を引くということです。0.44という係数は、フリースローが1本か2本か3本かによってポゼッションが変わることを考慮したものです 。
例えば、あるチームが試合で100点を取り、相手チームが90点を取ったとします。その時の両チームのポゼッションは以下のようになります 。
- • チームA(勝者):FGA = 80, FTA = 20, TOV = 10, ORB = 15
- • チームB(敗者):FGA = 85, FTA = 25, TOV = 15, ORB = 10
チームAのポゼッション = 80 + 0.44 × 20 + 10 - 15 = 83.8 チームBのポゼッション = 85 + 0.44 × 25 + 15 - 10 = 94.6
この場合、チームAのDRtgは以下のようになります。
DRtg = 100 × (90 / 94.6) = 95.1
チームBのDRtgは以下のようになります。
DRtg = 100 × (100 / 83.8) = 119.3
この結果から、チームAはチームBよりも守備が上手だったことがわかります。DRtgは低ければ低いほど良い指標なので、チームAは100回守備すれば95.1点しか失点しないのに対し、チームBは100回守備すれば119.3点も失点してしまうことになります。つまり、チームAはチームBよりも24.2点分も守備で有利だったと言えます。
DRtgの意味と使い方
では、DRtgはどういう意味があり、どう使えばいいのでしょうか。DRtgは、守備側の視点で考えた場合の失点率を示す指標なので、守備力や守備効率を評価するのに役立ちます。例えば、以下のような使い方ができます。
- • チームや選手の守備力をランキングする
- • チームや選手の守備力の変化や向上を追跡する
- • チームや選手の守備力を他のチームや選手と比較する
- • チームや選手の守備力が勝敗に与える影響を分析する
例えば、2022-23シーズンのNBAで、チーム別のDRtgを見てみましょう。以下が上位5チームと下位5チームのDRtgです。
チーム | DRtg |
---|---|
ミルウォーキー・バックス | 101.7 |
フィラデルフィア・セブンティシクサーズ | 102.3 |
ユタ・ジャズ | 103.1 |
ロサンゼルス・レイカーズ | 103.4 |
マイアミ・ヒート | 104.0 |
… | … |
ワシントン・ウィザーズ | 112.7 |
オクラホマシティ・サンダー | 113.1 |
ニューオーリンズ・ペリカンズ | 113.4 |
ヒューストン・ロケッツ | 114.2 |
サクラメント・キングス | 115.3 |
この表から、バックスやセブンティシクサーズなどは守備が強く、ロケッツやキングスなどは守備が弱いことがわかります。また、これらのチームの勝敗も見てみましょう。以下が上位5チームと下位5チームの勝率です。
チーム | 勝率 |
---|---|
フェニックス・サンズ | .750 |
ミルウォーキー・バックス | .732 |
フィラデルフィア・セブンティシクサーズ | .707 |
ユタ・ジャズ | .707 |
ブルックリン・ネッツ | .682 |
… | … |
オクラホマシティ・サンダー | .293 |
デトロイト・ピストンズ | .268 |
オーランド・マジック | .250 |
ヒューストン・ロケッツ | .232 |
サクラメント・キングス | .214 |
この表から、守備が強いチームは勝率も高く、守備が弱いチームは勝率も低いことがわかります。つまり、DRtgは勝敗に大きな影響を与える指標であると言えます。もちろん、オフェンスや他の要素も重要ですが、守備はバスケットボールの基本であり、DRtgはその基本を測る指標として有用です。
DRtgの注意点と限界
しかし、DRtgにも注意点や限界があります。以下にいくつか挙げてみます。
- • DRtgは、相手チームのオフェンス力や試合のペースに影響されます。例えば、オフェンスが強いチームと対戦した場合、DRtgは高くなりやすく、オフェンスが弱いチームと対戦した場合、DRtgは低くなりやすいです。また、試合のペースが速い場合、ポゼッションが多くなり、DRtgは高くなりやすく、試合のペースが遅い場合、ポゼッションが少なくなり、DRtgは低くなりやすいです。そのため、DRtgを見るときは、相手チームや試合の状況も考慮する必要があります。
- • DRtgは、チームの守備力を表す指標ですが、個人の守備力を表す指標ではありません。個人のDRtgは、同時に出場している他の選手や相手選手の影響を受けます。例えば、守備が上手い選手でも、守備が下手な選手と一緒にプレイしていると、DRtgは高くなりますし、守備が下手な選手でも、守備が上手い選手と一緒にプレイしていると、DRtgは低くなります。また、相手選手のオフェンス力やポジションによっても、DRtgは変わります。そのため、個人のDRtgを見るときは、他の選手や相手選手の影響も考慮する必要があります。
- • DRtgは、守備力や守備効率を表す指標ですが、守備の質や内容を表す指標ではありません。DRtgは、失点率を示すだけで、失点の原因や方法を示しません。例えば、失点した場合でも、相手に難しいシュートを打たせた場合と、相手に簡単なシュートを打たせた場合では、守備の質は違います。また、失点しなかった場合でも、相手にシュートチャンスを与えなかった場合と、相手にシュートチャンスを与えたが外した場合では、守備の内容は違います。そのため、DRtgを見るときは、失点率だけでなく、失点の原因や方法も考慮する必要があります。
まとめ
この記事では、「DRtg(ディフェンス・レーティング)とは」について簡単に解説しました。DRtgとは、「これまでのデータから100回攻撃される (守備をする)と何点取られるのか?」を表した指標であり、守備力や守備効率を評価するのに役立ちます。しかし、DRtgにも注意点や限界があります。以下にまとめておきます。
- • DRtgは低ければ低いほど良い指標である
- • DRtgは相手チームのオフェンス力や試合のペースに影響される
- • DRtgはチームの守備力を表す指標であるが、個人の守備力を表す指標ではない
- • DRtgは守備力や守備効率を表す指標であるが、守備の質や内容を表す指標ではない
DRtgは、NBA観戦を楽しむために知っておくと便利な指標です。しかし、DRtgだけでなく、他のスタッツや試合の状況も考慮して、守備について分析することが大切です。DRtgを使って、NBAの守備の魅力をもっと感じてみましょう!
よくある質問
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